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感情が揺さぶられる!キエフのチェルノブイリ博物館

記事作成日: 2017/07/14

      
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ウクライナと言ったらチェルノブイリ原発事故を思い浮かべる人もたくさんいるのではないでしょうか?

チェルノブイリ原発が今どうなっているか知りたい、でも原発に行くのは少し怖い。そんなあなたにオススメなのがウクライナの首都キエフにあるウクライナ国立チェルノブイリ博物館です。

感情に訴えかけるチェルノブイリ博物館

ウクライナ国立チェルノブイリ博物館は原発事故6周年の1992年4月26日に開設され、1996年に国立博物館として登録されました。文書、地図、写真、立ち入り禁止区域から運び込まれた遺物など7,000点以上展示されています。日本からも2006年に麻生太郎外務大臣(当時)が視察に赴き、その後2009年に日本政府は74,000米ドルの資金援助を決定しました。

この博物館が世界の他の博物館と一線を画しているのは客観的な資料やデータだけではなく来場者の感情に強く訴えかけるように展示の仕方が工夫されていることです。

批評家の東浩紀氏は著書『弱いつながり 検索ワードを探す旅』の中で、同博物館を訪れた際に博物館がデザイナーの主観のもとあたかもアートワークのように展示されていることに気が付きました。

 

ぼくはメインデザイナーのアナトーリ・ハイダマカ氏に、この展示方法は適切なのだろうかと尋ねてみました。すると彼は、展示にはむしろ主観的な感情が入っているべきだと答えるのです。ハイダマカ氏は広島の平和記念資料館も訪れたらしいのですが、感情抜きの客観的な展示だけでは、出来事の記憶は伝わらないと言います。(中略)どんなに客観的な情報を並べても、だれも見てくれないのであれば意味がない。情報の提示だけでなく感情の操作も必要だ、というのがチェルノブイリ博物館の思想なわけです。

東浩紀『弱いつながり 検索ワードを探す旅』 4 欲望を作る チェルノブイリより

 

実際に訪れてみるとチェルノブイリ博物館の展示は「普通」の博物館や美術館とは大きく異なる印象を受けます。心の片隅がザワザワするのです。

一階にはフクシマの展示も

チェルノブイリ博物館はウクライナの首都キエフの中心部にありキエフ観光のついでに容易に訪れることができます。

博物館の外に置かれている装甲車などの軍関連の車両はチェルノブイリ原発事故の際に実際に使われたものだそうです。

博物館に入ると多くの標識がまず目に入ります。これらの標識は原発事故後避難区域に設定された原発周囲30km圏内にあった村々の標識です。ちなみにこの鯉のぼりは2011年から2013年に福島において復興への希望の象徴として掲げられていたものです。

一階は企画展の展示ルーム。この時は原発事故が野生動物に与えた影響について展示されていました。本記事執筆現在では“ウクライナから福島連帯の起き上がりこぼし展”が開催されています(2017年9月1日まで)。最新の企画展は博物館のウェブサイトで確認できます。

2011年3月の福島第一原子力発電所事故を受けて、現在はフクシマに関する展示と桜の木をモチーフにしたモニュメントが設置されています。モニュメントには日本語とウクライナ語で、東日本大震災に対する祈りの詩が書かれています。

入場券(10フリブニャ約42円)を払って2階の常設展示に向かいましょう。チェルノブイリ博物館にはウクライナでは珍しく日本語オーディオガイドがあります。オーディオガイドのレンタル料は50フリブニャ(約210円)とウクライナにしては高いのですが、ここを訪れたならば絶対に借りてください。展示には英語の説明がついているものもありますが、説明は少なく展示されている資料もウクライナ語やロシア語の資料がほとんどなのでオーディオガイドを借りたほうが展示の内容をより理解することができます。なお一階の展示は無料です。

ボリューム満点な2階の展示、原発内部をイメージした展示に感情を揺さぶられる

消滅してしまった町や村の標識を眺めながら階段を登っていくとメインの展示室に辿り着きます。

階段の最後にはガスマスクと防護服を身に着けた人形が展示されていて心がザワザワします。

まずは右の部屋に入りましょう。展示室では事故発生当時の状況や、警察、軍などがどのように事故に対処したのか、当時の報道のされ方、事故発生直後のメーデーによって被害が拡大したことなど様々な側面から原発事故について解説されています。

展示室に入るとまず目に飛び込んでくるのが防護服の展示です。説明によるとチェルノブイリで実際に使われた防護服で、作業するエリアによって防護服の種類が異なるそうです。

防護服の隣には時計の展示。この時計は事故発生時刻の午前1時23分を指しています。

こちらはチェルノブイリ原発周囲30kmの避難エリアから回収されてきた赤ちゃん用のベッドや写真などを使ったオブジェ。今は人が住めなくなってしまった場所ですが、そこにも他の地域で暮らしている人々と変わらない生活があったという当たり前の事実が感じられます。

展示の最後の方には原子力爆弾を投下されたヒロシマとナガサキに関する展示もあります。

展示室を一周まわると最初の階段に戻ってきます。ここが最後の展示室です。巨大なホールのようなスペースに無数の展示がされています。このスペースは原子力発電所内部をイメージしているそうです。

この博物館では原発事故の被害を最小限に抑えるため自分の命を懸けて戦った無数の事故処理作業員の活躍を知ることができます。彼らの働きがなければ事故の被害はさらに大きなものになっていたことでしょう。

原子力発電所の是非は日本でも世界でも人によって大きく考えが違います。しかし、世界最大級の原発事故を起こしてしまった我々にとってもチェルノブイリ原発のこれまでとこれからは他人事ではありません。日本の未来を考えるうえでもぜひ訪れてもらいたい場所です。

店舗情報・その他お勧め情報
◆住所 キエフ・プロヴロク ホリヴァ1番地(Киевпереулок Хоревой, 1)
◆アクセス 地下鉄「コントラクトーヴァ・プローシャ(Контрактовая площадь)」駅から徒歩
◆電話番号 0038 (044) 482-56-27
◆開館時間 月曜日~土曜日午前10時~午後6時(入館は午後5時まで)
◆閉館日 日曜日及び毎月最終月曜日
◆公式ウェブサイト http://chornobylmuseum.kiev.ua/ja/
この記事を書いたライター
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